山口地方裁判所 昭和56年(わ)235号 判決
本店の所在地
山口県下関市大字松小田六一二番地
法人の名称
株式会社 芦村商会
代表者の住居
山口県下関市大字松小田六一二番地
代表者の氏名
芦村秀雄
本籍と住居
山口県下関市大字松小田六一二番地
会社役員
芦村秀雄
昭和三年一月二二日生
右両名に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官上野富司出席のうえ審理を終え、次のとおり判決する。
主文
被告人株式会社芦村商会を罰金一、五〇〇万円に、被告人芦村秀雄を懲役一年に各処する。
被告人芦村秀雄に対しこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人株式会社芦村商会は、下関市大字松小田六一二番地に本店を置き、貿易業及び飼料・牛乳の販売業を営むもの、被告人芦村秀雄は、同会社の代表取締役としてその業務全般を統轄している者であるが、被告人芦村秀雄は同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、
第一 同会社の昭和五二年一〇月一日から同五三年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が二、七一九万九、六八四円でこれに対する法人税額が九八五万一、五〇〇円であるのにかかわらず、台湾での豚の仲買による別途利益を除外し、あるいは牛乳販売・競艇場売店の売上の一部を除外する等の行為により右所得を秘匿したうえ、同五三年一一月三〇日下関市山の口町一番一八号所在の下関税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が零円で納付すべき法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により法人税九八五万一、五〇〇円を免れ
第二 同会社の同五三年一〇月一日から同五四年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が、七、九二二万八、四五五円でこれに対する法人税額が三、〇五二万三、四〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得を秘匿したうえ、同五四年一一月三〇日前記下関税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が欠損の一、七八八万六、〇九八円で納付すべき法人税額がない旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって法人税三、〇五二万三、四〇〇円を免れ
第三 同会社の同五四年一〇月一日から同五五年九月三〇日までの事業年度において、その所得金額が一億〇、五〇一万〇、八三六円でこれに対する法人税額が四、〇八四万七、九〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得の一部を秘匿したうえ、同五五年一二月一八日前記下関税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が五、三五四万三、七八三円で、これに対する法人税額が、二、〇二六万一、一〇〇円である旨の虚偽の法人税修正申告書を提出し、もって法人税二、〇五八万六、八〇〇円を免れ
たものである。
(証拠の標目)
判示の全事実につき
一 被告人芦村秀雄の
1 当公判廷における供述
2 検察官に対する供述調書
3 大蔵事務官に対する質問てん末書(一五通)
4 上申書(三通)
一 大蔵事務官作成の調査事績報告書(昭和五六年五月六日付、同月一八日付、同年七月四日付)並びに「脱税額計算書説明資料」と題する書面
一 登記官作成の登記簿謄本
一 押収してある法人税決議書一綴(昭和五七年押第七号の1)
判示第一、第二の各事実につき
一 新久保幸一の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 大蔵事務官作成の調査事績報告書(昭和五六年二月二三日付)
判示第一の事実につき
一 大蔵事務官作成の調査事績報告書(同年五月二六日付)並びに脱税額計算書(自昭和五二年一〇月一日至昭和五三年九月三〇日)
判示第二、第三の各事実につき
一 大蔵事務官作成の調査事績報告書(昭和五六年二月二日付)
判示第二の事実につき
一 大蔵事務官作成の調査事績報告書(同年八月七日付)並びに脱税額計算書(自昭和五三年一〇月一日至昭和五四年九月三〇日)
一 徳武友美作成の上申書
判示第三の事実につき
一 大蔵事務官作成の調査事績報告書(昭和五六年二月二三日付、同月二四日付、同月二五日付、同年七月二六日付)
一 大石作男の大蔵事務官に対する質問てん末書
一 山崎寛也、安吉善作成の各上申書
一 山口小松販売株式会社作成の証明書
一 押収してある領収証五枚(同押号の2)
(法令の適用)
被告人会社の判示各所為はいずれも昭和五六年法律第五四号附則五条により同法律五条による改正前の法人税法一五九条一項、一六四条一項、七四条一項二号に、被告人芦村秀雄の判示各所為はいずれも同様にして同法一五九条一項、七四条一項二号に該当するところ、被告人会社は法人でありその情状により同法一五九条二項所定の罰金刑で処断することとし、被告人芦村秀雄につき所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は被告人毎に刑法四五条前段の併合罪であるから被告人会社につき同法四八条二項により所定罰金額を合算し、その範囲内において、被告人会社を罰金一、五〇〇万円に処し、被告人芦村秀雄につき同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重いと認める判示第二の罪の刑に法定の加重をなし、その刑期範囲内において被告人芦村秀雄を懲役一年に処し、同被告人に対し諸般の情状を考慮して同法二五条一項によりこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 中村行雄)